MDB COLUMN

ビジネスを成功に導くための視野/視点の拡げ方(2018/11/30)

第7回 若き論客に学ぶ、という発想~その7

<本コラムの紹介>
 ビジネスを成功に導くためには、「いかに視野や視点を拡げていけるか」が極めて重要である。といっても、それほど簡単な話ではないことは皆さまもご存じの通りである。そこで本コラムでは、その方法論について、様々な考え方をお伝えしながら、紐解いていくことを目的としている。「他では読めない内容」となっているので、是非お楽しみいただきたい。



Tech Crunch Tokyo 2018

毎年恒例のTech Crunch Tokyoが今年も行われた(渋谷ヒカリエ/2018年11月15日~16日)。

 URL:https://jp.techcrunch.com/event-info/techcrunch-tokyo-2018/

 ご存知の方も多いかもしれないが、2011年にスタートしたこのイベントは毎年、国内外の数多くのスタートアップの最新サービス、製品、技術が一堂に会する大スタートアップイベントである。今年から一部のセッションのライブ配信もスタートしており、会場に行けなくともその熱気を楽しめるように工夫がされている(但し、このイベントは場の空気を感じるためにも行くのが一番である)。
 中でも目玉ともいえるイベントが、「スタートアップバトル」と呼ばれる新鋭スタートアップのプレゼン大会である。内容もさることながら、多くの若きスタートアップのトップがどのようなプレゼンをして、自社をアピールするのかに注目して楽しみに見続けている。毎年秋には、このイベントで「若き論客」を確認するのが恒例行事となった。

 2018年、決勝に残った20社の猛者の中から栄えある対象に輝いたのは、株式会社ムスカ(福岡/串間充崇社長)であった。

 URL:https://jp.techcrunch.com/2018/11/16/2018-11-16-musca-is-the-winner-of-techcrunch-battlefield-tokyo-2018/

 それにしても、福岡のスタートアップには非常に勢いを感じる。同社は、「食糧のインフラを技術と理念で支える企業」を標榜するスタートアップである。MUSCAシステムと呼ばれる、イエバエの幼虫を使った循環システムを駆使して、世界の食糧危機を救う技術を開発した実にユニークな企業である。
 「畜産糞尿を肥料や飼料に100%リサイクルする循環システム」は確かに世界中のどこでも、先進国・新興国に限らず歓迎される技術であり、世界で闘えるアグリテックになる予感がする。宇宙開発時代のソビエトから技術を購入、45年にも及ぶ絶え間ない研究開発成果がこのスタートアップの技術を支えている。SDGsの観点からも高い評価を得ていくのは、間違いないであろう。

 URL:https://musca.info/company.php

 2017年はeスポーツで知られるskillsが急成長率No.1であったが、2018年はどのような結果となったか…。サイトを見ていただくとわかるのだが、1位はSwanLeap(ウィスコンシン州)となった。

 URL:http://www.swanleap.com/

 当面、同社の展開には注目していきたいと考えている。メディアで取り上げられる機会も増加しており、以下に参考記事URLも紹介しておく。

■日経ビジネスオンライン
 URL:https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/061100222/101700012/
■Wired
 URL:https://wired.jp/waia/2018/06_mitsutaka-kushima/

もう1社注目企業を紹介

 今回のTech Crunch Tokyoでは、もう1社注目している企業があった。それは、今年立ち上がったばかりのモバイル決済企業であるPayPay株式会社(東京/中山一郎社長)である。

 URL:https://paypay.ne.jp/

 短期間でインドの決済ビジネスを劇的に変えたPaytm社(https://paytm.com/)とソフトバンク、ヤフーが組んだまさに強力タッグであり、個人的にはなかなか進まない日本のキャッシュレス環境を一気に塗り替えていく可能性があると見ている。Tech Crunchでの模様は、以下を参照頂きたい。

 URL:https://jp.techcrunch.com/2018/11/22/tc-japan-2018-paypay/

 今冬、本格的に事業展開をスタートする同社は、注目すべきポイントが非常に多い。また本連載でも引き続き取り上げていくこととしたい。

次回予告

今回はここまで。
 次回は、2019年以降、より注目しておきたい、新たな若き論客の紹介をしてみたいと考えている。
 乞うご期待!


<筆者紹介>
菊池 健司
株式会社日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンク コンサルティングサービス部部長。
1990年日本能率協会総合研究所入社。マーケティング・データ・バンク(MDB)で長年に渡り、民間企業、官公庁、独立行政法人、大学等からの要請に応じ、公開情報を中心とした情報提供に携わる。現在は新規事業開発、新用途探索、ビジネスプラン策定といったテーマにおいて、情報コンサルタントとして個別企業や機関での支援活動に日々取り組んでいる。情報活用を通じて社員の発想を拡げることを目的とした研修の要望が急増している。