MDB COLUMN

ビジネスを成功に導くための視野/視点の拡げ方(2019/04/22)

第11回 若き論客に学ぶ、という発想~その11

<本コラムの紹介>
 ビジネスを成功に導くためには、「いかに視野や視点を拡げていけるか」が極めて重要である。といっても、それほど簡単な話ではないことは皆さまもご存じの通りである。そこで本コラムでは、その方法論について、様々な考え方をお伝えしながら、紐解いていくことを目的としている。「他では読めない内容」となっているので、是非お楽しみいただきたい。



興味深い企業リスト

今年もまたForbes誌恒例のミダスリストが公開された。

■Forbes「The Midas List-The Best Dealmakers In High-Tech Venture Capital 2019-」
 URL:https://www.forbes.com/midas/#2d0be9ba5650

 この「世界に影響力を与える投資家ランキング」は、我々に世のキーパーソンが誰かを教えてくれる貴重な情報源である。今回最大のポイントは、セコイア・キャピタル中国のNiel Shen氏が2年連続でNo.1に輝いたことであろう。これはすごいことだと思う。2030年にあらゆる分野(経済、観光、産業)で世界No.1になると予想される同国はこのまま世界の覇権を握るのであろうか。当然だと思われるかもしれないが、注視しておかなければならない。

 Niel Shen氏の投資先は、例えば以下のような企業である。

 ・美団点評(Meituan-Dianping) ※中国最大の食品出前プラットフォーム
 ・拼多多(Pinduoduo) ※格安eコマース運営
 ・北京字節跳動科技(Bytedance) ※動画アプリTikTokの運営元
 ・DJI ※ドローンメーカー
 ・NIO ※EVメーカー
 ・Klook ※旅行予約プラットフォーム

 特に美団点評への投資は、最近10年で最も重要な投資だと語っている。アリババのフードデリバリー「Ele.me(ウーラマ)」をライバル視しており、この戦いも率直に興味深いが背後にいる投資家の知恵比べも見逃せないところだ。

 近い将来、セコイア・キャピタルの米国本部を指揮するという話を出てきている。そうなれば、ますますビジネスの目利きとしての存在感を高めていくであろう。
 いずれにせよ、この類まれなる知識とセンスを有する稀代の投資家の投資先やコメントは今後も要チェックである。もちろん、今回のミダスリストにおいては急激の存在感を示している他の中国人投資家にも目を配っておきたい。

他の中国人投資家も要注目

中国人投資家の勢いは、まさに加速傾向にある。今回のミダスリストのもう1つの見どころは、ベスト100において実に21名もの投資家が名を連ねたことであろう。国家の勢いと言おうか、おそらく2020年以降もこの勢いには拍車がかかる予感がする。今回のランキングに入った21名はいずれも注視すべき投資家であることは間違いないが、中でもベスト10に入った3名は注目だ。

 5位:JP Gan(Qiming Venture Partners)
 6位:Kathy Xu(Capital Today)
 7位:Hans Tung(GGV Capital)

 5位:Qiming Venture Paetnersは、中国の顔認証ビジネスをリードするMegviiに初期から投資している。Megviiはいつしか、その技術力において同分野における注目企業となった。やはり目利きが効いている印象がある。
2019年度も中国人投資家の動向から目が離せない。また新顔が登場して来るに違いない。日本でも素晴らしい投資家が増えていくとよいのだが…。

次回予告

今回はここまで。
 次回からは、最新ビジネストレンドや注目しておきたいスタートアップ等の情報をランダムに取り上げていくこととしたい。引き続き、ご覧いただければありがたい。


<筆者紹介>
菊池 健司
株式会社日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンク MDB事業部 部長。
1990年日本能率協会総合研究所入社。マーケティング・データ・バンク(MDB)で長年に渡り、民間企業、官公庁、独立行政法人、大学等からの要請に応じ、公開情報を中心とした情報提供に携わる。現在は新規事業開発、新用途探索、ビジネスプラン策定といったテーマにおいて、情報コンサルタントとして個別企業や機関での支援活動に日々取り組んでいる。情報活用を通じて社員の発想を拡げることを目的とした研修の要望が急増している。