MDB COLUMN

ビジネスを成功に導くための視野/視点の拡げ方(2019/06/03)

「未来」を想起し、ビジネストレンドを先取りする<その1>

<本コラムの紹介>
 ビジネスを成功に導くためには、「いかに視野や視点を拡げていけるか」が極めて重要である。といっても、それほど簡単な話ではないことは皆さまもご存じの通りである。そこで本コラムでは、その方法論について、様々な考え方をお伝えしながら、紐解いていくことを目的としている。「他では読めない内容」となっているので、是非お楽しみいただきたい。



令和から考える2050年トレンド

元号が「令和」に変わった。この言葉の響きは評価される向きが多いようだ。

 令和替わりを受けて、皆様の所属先では何か「新しい」ことを始めておられるだろうか。元号の変化…、昔から元号が変わった後には、いろいろな出来事が起こるとされている。良い出来事がたくさん起こってくれるとよいのだが…。
 ちなみに、MDBはこの2019年で丁度、50周年である。半世紀というのは、なかなか隔世の感がある。思えば、調査トレンドも時間と共に随分と変化してきた。

 例えば…
  ・四方八方戦略→成長産業注視策へ
  ・同業徹底探索→異業種徹底探索へ
  ・大市場探索→隙間探索へ
  ・国内市場→グローバル市場→国内+グローバルへ

 詳しくは今後も紐解いていくのだが、令和の時代は、「他社が捨てた市場を呼び覚ます」「日本での成功が世界につながる」といったことがキーフレーズになる予感がする(本コラムで追々お届けしていくので、どうかお楽しみに…)。

注目しておきたい審議会

ビジネスの先を考える上では、少しレンジの長い報告書を見る癖をつけるのが有効だ。MDBのお客様においては、「2030年、40年、50年の社会トレンドを調査する」という1つの流行りがある。
 事業を検討する上でのオプションは大いに越したことはない。世の中、情報が多すぎるという話もあるが、複数の未来想起のアイデアを押さえながら、「自分たちはこう考える」という形まで持っていきたいところだ。これができる企業が勝つ時代…である。

 本連載では毎回、「これは見ておきたい!」という情報源を取り上げていくのだが、今回は「産業構造審議会2050経済社会構造部会」をご紹介しておく。同部会においては、日本のこれからについて活発な議論が展開されている。今後注視されていかれることを、おすすめしておく。

■Forbes「The Midas List-The Best Dealmakers In High-Tech Venture Capital 2019-」
URL:https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/index.html

 2019年5月の分科会では、「第四次産業革命に向けた産業構造の課題と方向性」という資料が配布されている。

URL:https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/006_04_00.pdf
URL:https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/006_05_00.pdf

 マークアップ率(製造コストの何倍で製品を販売できているのを示す指数)関連の議論がなされている点が興味深い。ビジネスにおいては、「儲けの仕組み」という名の「ビジネスモデル」の構築が重要である。このような報告書で、大きな方向性を掴むということが、「先取り」につながるのだ。

 ちなみに、今までの常識ではなかなか捉えきれない「産業構造」の変化が、今後待っているような気がしてならない。

次回予告

今回はここまで。
 次回も、注目しておきたい「未来情報源」をご紹介していく。引き続き、ご覧いただければありがたい。


<筆者紹介>
菊池 健司
株式会社日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンク MDB事業部 部長。
1990年日本能率協会総合研究所入社。マーケティング・データ・バンク(MDB)で長年に渡り、民間企業、官公庁、独立行政法人、大学等からの要請に応じ、公開情報を中心とした情報提供に携わる。現在は新規事業開発、新用途探索、ビジネスプラン策定といったテーマにおいて、情報コンサルタントとして個別企業や機関での支援活動に日々取り組んでいる。情報活用を通じて社員の発想を拡げることを目的とした研修の要望が急増している。