MDB COLUMN

ビジネスを成功に導くための視野/視点の拡げ方(2019/10/31)

「未来」を想起し、ビジネストレンドを先取りする<その5>

<本コラムの紹介>
 ビジネスを成功に導くためには、「いかに視野や視点を拡げていけるか」が極めて重要である。といっても、それほど簡単な話ではないことは皆さまもご存じの通りである。そこで本コラムでは、その方法論について、様々な考え方をお伝えしながら、紐解いていくことを目的としている。「他では読めない内容」となっているので、是非お楽しみいただきたい。



中国スタートアップ淘汰の嵐!?

2019年1~9月にかけて、中国スタートアップの資金調達額が大きく減少しているという記事を目にした(日本経済新聞電子版2019年10月21日付)。なかなか衝撃的なニュースである。

 国家の後押しもあり、日本がうらやむほどの起業ブームに包まれた同国だが、時代の流れは本当に速い。当然のことながら「本物」の選別が予想以上のスピードで始まっているのだろう。だからこそ、ビジネスパーソンはこれから生き残る、いや急成長するの中国のスタートアップトレンドをよく見ておかなくてはならない。
 中国のスタートアップをウオッチする上で、36Krはやはり注視しておくべきサイトであろう。現在は日本経済新聞ともパートナーシップを締結している。

■36Kr
 URL:https://36kr.jp/

 このサイトではスタートアップ情報はもちろんそうだが、独自取材情報を中心に定点観測するようにしている。チャイナテックトレンドは、やはり必見である。

注目しておきたい分野の一例

急激に力をつけているAIや認証技術関連はもとより、自動車やスマートシティ関連のスタートアップにも注目している。また、2030年には世界で最も観光客を集める国になると目される同国における観光スタートアップ(トラベルテック)にも注目しておく価値がある。
 世界三大投資家の1人であるジム・ロジャーズ氏はこれからの日本の成長産業の1つに教育ビジネスを選んでいるが、個人的には中国EDTech関連企業にもかなり注目している。子供向けオンライン英語教育プラットフォームであるVIPKIDはBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)の1社であるテンセントの支援を受けながらビジネス展開を進めている。やや苦戦しているという報道もあり、スタートアップ環境の厳しさを感じさせるが、それでも、長期レンジでみれば巻き返しを図ってくると予想する。

■VIPKID
 URL:https://www.vipkid.com.cn/

 ちなみに、ジム・ロジャーズ氏は、今後の世界トレンドを考えれば、中国語をしっかりと学ぶべきだと著書やインタビューで進言している。

■東洋経済オンライン
 URL:https://toyokeizai.net/articles/-/293137?page=2

 「成長産業×中国スタートアップ」、新規事業や新用途に何らかの形で携わる方は情報収集活動においてこの視点をどうか引き続き大切にしていただきたい。

次回予告

今回はここまで。
 次号からは、2020年以降の注目成長産業トレンドを順次紹介していくこととする。引き続き、ご覧いただければありがたい。



<筆者紹介>
菊池 健司
株式会社日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンク MDB事業部 部長。
1990年日本能率協会総合研究所入社。マーケティング・データ・バンク(MDB)で長年に渡り、民間企業、官公庁、独立行政法人、大学等からの要請に応じ、公開情報を中心とした情報提供に携わる。現在は新規事業開発、新用途探索、ビジネスプラン策定といったテーマにおいて、情報コンサルタントとして個別企業や機関での支援活動に日々取り組んでいる。情報活用を通じて社員の発想を拡げることを目的とした研修の要望が急増している。