MDB COLUMN

ビジネスを成功に導くための視野/視点の拡げ方(2019/11/29)

「未来」を想起し、ビジネストレンドを先取りする<その6>

<本コラムの紹介>
 ビジネスを成功に導くためには、「いかに視野や視点を拡げていけるか」が極めて重要である。といっても、それほど簡単な話ではないことは皆さまもご存じの通りである。そこで本コラムでは、その方法論について、様々な考え方をお伝えしながら、紐解いていくことを目的としている。「他では読めない内容」となっているので、是非お楽しみいただきたい。



2020年以降の注目ビジネスを捉える上で…

最近読んだ中で、大きな衝撃を受けた1冊の本がある。

■「アニメのSF考証家が描く未来のカタチ 21.5世紀僕たちはどう生きるか?」(高島雄哉著/講談社/2019年10月刊)
URL:http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000321846

 著者の高島氏は今大注目の小説家であり、SF考証家である。SF考証家といっても耳慣れないかもしれない。この日本にわずか10数名しかいないとされる稀有な職業家の方々は、アニメやゲームに登場する科学的な事象について、正しいかどうかを調べて、SF的な要素について新しいアイデアを考える仕事をしている。
 高島氏は、サンライズのアニメ作品「ゼーガペインADP」「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」といった著名作品のSF考証を務めている。まさに引く手あまたの人気考証家である。
 近々、各企業がこぞって新設している「未来創造部」のようなセクションで、高島氏のような方が呼ばれて一緒に未来についてディスカッションを行う光景は容易に想像できる(そうあるべきだと思う)。個人的にも今一番注目しているビジネスパーソンといっても過言ではない。

やはり到来したSFに学ぶ時代

そんな、プロのSF考証家が様々な産業の未来を語ってくれている本書は、多くのビジネスパーソンに相当なインパクトを与えるだろう。「はじめに」を読んでいただくと、以下のようなフレーズが出てくる。

「これから数十年を経て、人は不老不死になり、宇宙で生活できるようになります。そして労働から解放され、何をするべきかまでをも、すべてAIが考えてくれるようになります」

 このような時代に、各業界はどう変化していくのであろうか…。取り上げられているのは、以下の15業界である。

医療業界・旅行業界・食品業界・教育業界・モビリティ業界・アミューズメント業界・嗜好品業界・VR業界・金融業界・観光業界・エンタメ業界・流通業界・住宅業界・小売業界・性産業業界

 共通項はそう、いずれもこれからの成長産業なのだ!もちろんテクノロジー進化による業界や参入企業の変化が大前提である。各章はコンパクトなので、もっと知りたい、もっと考えたいと「脳が動き出す」と思う。自社に関連する業界のパートを読みながら、仲間とディスカッションを進めていかれることをお勧めしておく。21.5世紀の未来像を「遠い話」と決して軽視しないほうがよい。

次回予告

今回はここまで。
 次号も引き続き、2020年以降の注目成長産業トレンドを順次紹介していくこととする。引き続きご覧いただければありがたい。



<筆者紹介>
菊池 健司
株式会社日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンク MDB事業部 部長。
1990年日本能率協会総合研究所入社。マーケティング・データ・バンク(MDB)で長年に渡り、民間企業、官公庁、独立行政法人、大学等からの要請に応じ、公開情報を中心とした情報提供に携わる。現在は新規事業開発、新用途探索、ビジネスプラン策定といったテーマにおいて、情報コンサルタントとして個別企業や機関での支援活動に日々取り組んでいる。情報活用を通じて社員の発想を拡げることを目的とした研修の要望が急増している。