MDB COLUMN

ビジネスを成功に導くための視野/視点の拡げ方(2020/04/13)

「未来」を想起し、ビジネストレンドを先取りする<その10>

<本コラムの紹介>
 ビジネスを成功に導くためには、「いかに視野や視点を拡げていけるか」が極めて重要である。といっても、それほど簡単な話ではないことは皆さまもご存じの通りである。そこで本コラムでは、その方法論について、様々な考え方をお伝えしながら、紐解いていくことを目的としている。「他では読めない内容」となっているので、是非お楽しみいただきたい。



ただならぬ事態…

2020年4月7日、政府による史上初となる緊急事態宣言が発令された。遅きに失した…という指摘も多々あるが、それでも人々の行動指針が示されたことはよいことだと思う。銀座や渋谷の最近の状況を見ても分かる通り、老若男女問わず、決まりごとがあるなら一定のルールは守る、という日本の国民性がある。世界の深刻な状況を見ている限り、日本がいつ、今のニューヨークやイタリア・スペインのような状況になってもおかしくはない。前号でもご紹介しているが、BBCやNYタイムズなどのニュースに今は目を通しておきたいとことだ。
 MDBを日頃からご利用いただいている皆様も、テレワークシフトに(一部戸惑いを感じながらも)移行されている方が多いと思う。Microsoft Teamsはどう使うの?Zoomはどう使うの?今日もどこかでそういう声が聞こえてくる…。いずれも慣れの問題で、もう数か月経過すると、だんだんと不安が払拭されこうしたリモートツールの利用は当たり前になっている。コロナショックにおいて、強制的な働き方改革となってしまったが、コロナ収束後も、リモートワークはこのまま定着していくだろう。毎日当たり前に会社に通い、当たり前に同僚と出会い、当たり前に会話する…。それが当たり前ではなくなり、頻度が下がっていく。週に1~2回程度となるであろう、会社で対面で話をするその時間がとても大切になっていく。私たちはそのような時代をこれから迎えようとしている。

ビジネスを見る視点

この未曽有の危機に直面している現在、ビジネスを考える上では、 ある意味、今しかできないことを考える好機という捉え方もできる。例えば、どこも厳しい中で、この時期に売れているものや業績を伸ばしている企業、GMOグループのように先んじて制度導入を進めている企業等について、自分なりに、考察メモをまとめておくとよいと思う。

■事象の一例■
 ・自宅にノートPCを持ち帰ったが、画面が小さいために家庭用ディスプレイが売れる
 ・家族で楽しめるアナログゲーム(トランプやボードゲーム)が売れている
 ・ホットプレートが売れている
 ・令和版ビリーズブートキャンプが復活
 ・書斎ブームが復活
 ・自転車が売れている

等々、ニュースソースから事象を書き留め、自分の見解をメモしておく→これが重要!後で振り返ると、良いアイデアメモになるだろう。

 会社四季報オンライン等で、コロナ銘柄も追っておきたい。「投資家視点×注視すべきビジネス×自社との関連性」という視点である。

 ■アフターコロナで、よりニーズが高まる業種に注目
 URL:https://shikiho.jp/news/0/343472

 ■「コロナ相場」に強い銘柄が株価上昇
 URL:https://shikiho.jp/news/0/342176

 背景を探る、逆側から見てみる、そんな視点で今起こっている事象を見ておかれることをお勧めしておく。それにしても…いつかは終わるとわかっていても、その「いつか」がこれほど見えない戦いも珍しい。

 不安に向き合うには「歴史」から学ぶ。50年以上前に発刊されたカミュの「ペスト」(新潮文庫)がここにきてベストセラーになるのもよくわかる。

 URL:https://www.shinchosha.co.jp/book/211403/


当然のことながら、まずは命を守ることを最優先に、次なるチャンスに向けて皆で力を蓄えていきたいと願う。

次回予告

今回はここまで。
 次回は、また1回先送りとなってしまった「MaaS」「空飛ぶクルマ」関連のトピックを取り上げる予定である。引き続き、ご覧いただければありがたい。


<筆者紹介>
菊池 健司
株式会社日本能率協会総合研究所マーケティング・データ・バンク MDB事業本部 副本部長。
1990年日本能率協会総合研究所入社。マーケティング・データ・バンク(MDB)で長年に渡り、民間企業、官公庁、独立行政法人、大学等からの要請に応じ、公開情報を中心とした情報提供に携わる。現在は新規事業開発、新用途探索、ビジネスプラン策定といったテーマにおいて、情報コンサルタントとして個別企業や機関での支援活動に日々取り組んでいる。情報活用を通じて社員の発想を拡げることを目的とした研修の要望が急増している。